出血とは
出血とは血管の外に血液が流出することです。料理をしていて包丁で手を切ってしまった場合など、いわゆる「出血」は外出血のことを指しますが、外出血はそのように目に見えやすいものから、消化管出血など中々目に見えないものまで様々あります。出所不明の消化管出血はオカルト出血とか呼ばれたりもします。消化管出血は目に見えないせいか出血量が多くなる傾向にあり、輸血が必要になることも動物ではしばしば経験します。
一方、もう一つの出血と言えば内出血が挙げられます。外出血と同様に血管の外に血液が流出していますが、それが皮膚の下だったり関節や筋肉内だったり、頭蓋内だったりするので、血液一滴一滴が直接目に見えるわけではありません。さらに、主に皮下出血のことを、青たん、青あざ、青なじみなどと呼びますが、例え皮下出血が起きてそこが少し腫れていても、皮膚が伸びてくれるので、あまり痛みを伴わないようです(https://www.hemophilia-st.jp/about/treatment/03_2.html)。
犬で比較的よく遭遇する血液疾患の一つに免疫介在性血小板減少症という病気があり、無数の点状出血(小さい、点々としたアザ)が症状として多く見られますが、確かにそこを触診して痛がる子には出会ったことがありません。上述のサイトによれば、人間が青たんを触って痛いときは、皮膚の下の筋肉を損傷しているときが多いそうです。青たんは出血が目に見えないので、どこかに打ち付けてもしばらくしたらあまり気にかけないことが多く、なんで青たんが出来ているのかすら忘れてしまうことも多いですが、触って痛いときは結構深部を痛めているということですね。
ちなみに青あざが治っていく過程で黄色く変化していくのは、壊れた赤血球の中のヘモグロビンがビリルビンという黄色い色素に分解されて吸収されていくからです。その色素が何らかの機序で生体内に多すぎると黄疸という症状を呈します。さて、前置きが長くなりましたが、なんでこのような記事を書いたかというと、私の右下腿部の盛大な青たんが少しずつ黄色くなってきたからです。血液って奥が深いなぁと思いながら日々暮らしています(笑
余談ですが、私が所属する日本獣医輸血研究会の第6回学術講習会が来月予定されています。不肖ながら私も登壇させて頂く予定なので、開院のばたばたをかいくぐって準備を頑張りたいと思います。血液・輸血の勉強をされたい獣医師、動物看護師の皆様、ご参加をお待ちしております。