英論文紹介: 献血ドナーと薬、そして生肉食について
タイトルに「犬」という字が無いのでまるで人の献血の記事みたいになってしまっていますが、犬です、犬の献血ドナーの話です。今日は献血ドナーになってくれる犬の常用薬とか食べ物をどこまで制限するべきなのかというアンケート調査結果に関する論文の紹介です。私が更新しております日本獣医輸血研究会のホームページもよければご覧下さい。
先日ネットサーフィン(最近使っている人少ないですね、ひょっとして死語?)していると、大変美味しそうに生肉を食べている犬の動画が出てきまして、本犬の満足感が高そうで良いなぁと思う反面、これは衛生面で大丈夫なんだろうかとふと不思議に思いました。きっと動画で紹介されているご家庭は何も問題が生じていないものと思われますが、他のご家庭にもその食事内容が簡単に外挿できる訳ではなさそうですよね。消化しきれずお腹を壊してしまう子も中にはいそうです。そんな矢先、今回紹介する論文がカナダから出てきました。ドナーの食事内容まで把握していますかと。
通常、ドナーになってくれる犬の健康面やワクチン接種の有無や予防薬使用状況、海外渡航歴、妊娠出産歴等々を献血前に確認することが多いですが、食べている物の詳細について正直あまり聞いたことはなかったです。筆者たちのアンケート結果では、半数以上の施設で生肉を与えられているドナー犬はお断りをしていると。具体的にどんな肉を食べているとかどんな肉がダメなのかとか詳細は記載されていなかったのですが、意外とお断りの確率が高くて驚きました。
人間にも供されているような生肉食であればまだ大丈夫そうな気もしますが、ジビエなど管理下に置かれていない動物の生肉食は確かにちょっと抵抗があります。今度から私も犬猫の献血前の問診をする際は生肉食についてアンテナを立てておこうと考えさせられた論文でした。でも日本だとお刺身を与えている猫さんとか少なからずいらっしゃるので、生肉食って言っても一括りにお断りにするべきなのかは各獣医師が判断する必要がありそうですね。まぁでもお刺身は生は生でも生肉、とは言わないので対象外なのかしら。
ところで、私も年1回くらいは献血に行くようにして、献血に協力してくれる犬や猫へ感謝の気持ちを遠巻きに伝えるという趣味があるのですが、人間の献血の問診でも最近何食べてますかって聞かれたことないように思います。私がゴールデンカムイに憧れて沢山チタタプしてヒンナヒンナ言ってたら血液どうなるんだろう。実際のところ、鶏肉で2回ほどカンピロバクターにあたって悲惨な思いをしたりと、胃腸は決して丈夫な方ではないのでよく焼き派ですけどね。では来月も英論文紹介をどうぞよろしくお願い致します。