顕微鏡写真: ノミふん
題名からして期待されている?顕微鏡写真はソレジャナイ感がぷんぷんしますが、今日はノミふんのご紹介です。ノミ感染を疑うときは、個人的には犬や猫をバンザイさせて被毛の少ない下腹部のあたりをサッと横切る黒い小さなあいつを探すようにしていますが、先方もやり手なので少数感染の場合は見つけられないことも少なくありません。
そこで、ノミ感染が疑わしい場合の次点の策としては診察台の上に落ちてくる黒いフケに注目するようにしております。黒いフケとは通称ノミふん、ノミの糞ですね。これまで当Blogでも何度かノミふんに気を付けて下さいねと言ってきましたが、実際の画像を添付できていないことにもやもやしておりました。論より証拠、百聞は一見に如かずです。
普段の診察でノミふんを見かけることはあっても、すぐに片付けて診察室の消毒や清掃に移ってしまうので中々入手できず。後から思い出してもそんなものをゴミ箱から回収できるようなサイズのものでもなく、、しかし先日、ノミ感染した子が来ていたので写真撮影のことを思い出し、丁寧にノミふんを採取し、スタッフに片付けないでー!と念押しをし、スタッフから変な目でみられながら鼻息荒く吹き飛ばさないように写真撮影したノミふんがこちらです。
いかがでしょうか。参考までに定規と爪楊枝を脇に置いておきましたがとても小さいですね。この写真の拡大像もこちらに示しましょう。
ノミふんのサイズとしては大体1.0mmくらいのものであり、黒いフケと言っても、こういう糞っぽい感じの、なんて言うんでしょうね。とぐろを巻くレベルではないですがいわゆる糞っぽい形の雰囲気があるんです。そしてこの三つ並んだうちの一番下側のものはそのノミふんをちょっと潰してみたものなんですが、下に敷いてあるペーパータオルに血のこすれた痕みたいなのが見えますか?ちょっと水を垂らしてペーパータオルとかで潰してみても良いと思います。吸血した血液が未消化なまま血糞として出てくるので、こうやって黒いフケを潰して赤くなったらノミふんと確定診断できる訳です。
ということで、この記事は顕微鏡写真の世界なので、対物レンズ10倍の顕微鏡拡大像をどうぞ。
素晴らしくJ、です。さすがに赤血球の一粒一粒が見えるわけではないですが、ヘモグロビンと思わしき赤色は残っておられます。なんだか神々しいアーティスティックな一枚となりました。
こんなにもノミふんについて書いている記事はあるんだろうかと思ってGoogle検索してみたら動物病院のホームページが何件か引っかかってきたのですが、そんな中で異質だったのがこちらの幻冬舎さんの記事でした。アース製薬の研究開発に携わっている方の書籍抜粋のようでしたが、なんとノミを製品開発のため?の試験に供給する目的で5,000匹も飼育していらっしゃると。あぁ、、考えるだけで痒くなってくる…でもそういう方のお陰でダニアースレッドが開発できたり、勿論、犬や猫に使うノミダニ駆虫薬が開発されたりしているんだなぁと思うと感謝感謝です。ありがとうございます。
さて、だいぶ涼しくなってきた今日この頃ですが、油断せずノミダニ対策を行っていきましょう。平均気温が15度くらいある間、神奈川県でしたら例年ですと4月~11月くらいまではハイシーズンとしての対策が必要です。黒いフケを自宅で見かけた方、是非かかりつけの先生のところへご相談下さいませ。