顕微鏡写真: 犬のエンペリポレーシス
エンペリポレーシス(Emperipolesis)、ってはじめて聞いて一瞬で理解できる人はいないと思いますが、日本語で言うと「細胞内細胞貫入現象」となります。分かるようで分からない日本語なので早速写真をご覧いただきましょう。

写真中央にお示しする巨核球の細胞質の中に、おそらくリンパ球と思われる細胞が貫入していることが確認できます。今回はリンパ球でしたが、主にエンペリポレーシスしているのは好中球が多いと思います。
このエンペリポレーシスとは、ある細胞(Guest cell)が別の細胞(Host cell)の細胞内に能動的に侵入し、その内部で動き回ったうえでやがては細胞外に出ていくこともあり得る現象と定義されます。両細胞とも障害や細胞形態学的変化は生じないのも特徴です。
同じく細胞を取り込む現象として、ファゴサイトーシス(Phagocytosis、貪食)は防御反応として生体に大きく貢献しているのに対し、この巨核球のエンペリポレーシスは私の知る限り特に意義はなく、ただただ通過しているだけ、と思っています。調べてみると血液-骨髄関門の一部を担っているのかもしれないという説もあるそうですが、まだ研究の余地があるそうで。
はじめてエンペリポレーシスと聞いたときは何やらエンペラー的なとんでもない所見なのかとワクワクしましたが、ただ通り抜けているだけと教わってずっこけたあの日が懐かしい。しかしそれももう20年も前の話になるのか、、月日が過ぎるのは早いものですね。


