顕微鏡写真: 猫の血小板濃厚液
今日はチラシの裏の落書きのような思い出の血小板の写真です。先日、知り合いの先生に瀬川は血小板のことが好きだったよなぁと言われて、はたと思いだしました。そうでした、獣医師の中では結構な血小板マニアだったと思うんですよね。大学4~6年生、そして大学院1~4年生までの合計7年間、毎日白球の代わりに血小板を追いかけて走り回っていたと言っても過言ではないかもしれません。
その後、大学の動物病院で働いていた間は血小板凝集計と言って血小板の機能検査をしたり、血小板の輸血をしてみたり、と何となく血小板との独特なかかわりがあったように思います。それが大学を出て外の動物病院で働くようになって、そして当院を開業したりして、血小板は勿論重要な細胞成分の一部なので日々触れ合っていますが、気付けば何となく疎遠な間柄になっていました。高校の部活で毎日野球をやっていた少年が、大学生で草野球をたまにやるくらいになって、社会人になって電車内の流れてくるニュースでプロ野球の試合結果を見かける、くらいな。私もすっかり大人になってしまったものです。
そこで、昔を懐かしんで手元にあった検査用の残血で猫の血小板濃厚液(PC: Platelet concentrate)を作成して写真を撮ってみました。全血から赤血球や白血球を除いて血小板だけが分離されている様子が見て取れるようでしたら幸いです。

ただしこの写真に何の臨床的意義もなく、ただ私が感傷にふけったものなので悪しからず。昔は多血小板血漿(PRP: Platelet rich plasma)を作ったり、そこからさらに血小板濃厚液を作ったり、よくやっていたなぁ。でも久しぶりに作った血小板濃厚液を前にして、腕の衰えを感じました。昔はもっとたっぷり血小板を回収できたはず、と。もう再び白球や血小板を追いかけて走り回る日々が来ることは無いと思いますが、当時の思いを胸に今後もイチ血小板ファンでありたいと思った、2025年の新緑の日々の出来事でした。