顕微鏡写真: 蚊の鱗粉

だいぶ寒くなってきた今日この頃なので蚊を見かけることも少なくなって参りましたが、犬の場合は特にこのあたりでうっかり蚊に刺されてフィラリア感染してしまわないように注意が必要です。飲むタイプのお薬でしたら月に一回、用法用量を守ってしっかりフィラリア予防を行っていきましょう。そんな動物病院らしいことは他の先生方が各所で書かれているのでこれくらいにしておきまして。

本日は顕微鏡写真の紹介ですが、タイトルからして閲覧注意な方もいらっしゃるかもしれないので、ニガテな方はこのあたりでそっとブラウザを閉じておきましょう。と言っても、こんなミクロの世界に綺麗な幾何学模様があるなんて知らなかった、と感動したので良ければご覧ください。

鱗粉と言ったら蝶や蛾など鱗翅目の翅の表面についている粉として有名ですが、その役割は撥水効果、空気抵抗軽減、体温調整、模様、フェロモンなど様々なものが考えられているようです。そもそも鱗翅目、と言うくらいなので翅に鱗粉を持っている昆虫はその「目」に分類されている蝶や蛾だけなのかなと思っていました。しかし、先日蚊を顕微鏡で観察していたら、翅の周りにたくさんぱらぱらと何かが落ちていて。調べてみたら驚きました、どうやらそれは蚊の鱗粉だったようです。では、さっそくその綺麗な模様をご覧ください。

蚊-翅と鱗粉、対物レンズ10倍

いかがでしょうか。蚊をつぶしたときに黒い粉みたいなものが手に付くことがあると思いますが、あれが鱗粉みたいです。あの手に付いたものを拡大するとこんなことになっていたとは、世の中知らないことが沢山ありますね。今回この撮影した写真を調べていて、同じような感動をされている方をインターネット上に5人くらい見かけましたが、中でも特筆するべきホームページは株式会社テクネックス工房さんのこちらです。

東京都町田市の理科学機器の会社のようなのですが、その中の方が個人で小型の走査型電子顕微鏡を趣味の道具として嗜まれているようで。小型とは言え趣味の道具として嗜むには軽くトヨタのクラウン以上のお値段がするようなので相当崇高な趣味だなと思いますが、私が紹介しているような光学顕微鏡よりもっとミクロでマニアックな世界を20年近くに渡り紹介されていて大変興味深いホームページです。

さて、今回の写真は血液塗抹の上に蚊を載せて撮影するというシュールな現場だったのですが、血液塗抹感がまったく写真に反映されなかったので一抹の寂しさを覚えつつ。フィラリア予防薬を皆にちゃんと使ってもらわないと、と思った晩秋のできごとでした。