英論文紹介: 犬の献血頻度と鉄欠乏
すっかり8月も終わりつつあって朝晩は少し暑さが和らいできたのかもしれないなぁと思っていたところ、昨年8月のブログでも全く同じことを書いていて記録に残しておくことは大事だなと思いました。ちなみに2023年8月のブログではゲリラ豪雨のことを冒頭に書いていますね。今年は日本列島の太平洋側が比較的少雨な様子です。確かに帰り道に雨に降られながら帰ったことは無かったかもしれません。さて、今月も英論文紹介にいきましょう。私が更新している日本獣医輸血研究会のホームページもあわせてご覧下さい。
今月は献血と鉄欠乏の関係性に関する研究です。皆さまご存じのように赤血球の中にはヘモグロビンが入っていて、ヘモグロビンの中には鉄が含まれています。人間だと全血100mLに50mg程度の鉄分を含んでいるそうなので、400mLの献血を行うと200mgの鉄分を喪失することになるのでしょうか。人間の鉄分の1日摂取目標量は10mg前後みたいなので、毎日普通に食事を食べていても失った鉄分を取り戻すのに20日+αかかるように思われます。
犬の場合はそもそも鉄分摂取目標量が1日あたり0.5mg/kgと結構多かったりするようですが、それに応えるようにフード1kgあたり鉄分は80mg以上としっかり含まれているので、総合栄養食の規定を満たしているフードを食べていたらそうそう鉄欠乏に陥ることはありません。ただ、献血を繰り返して定期的に鉄分を喪失しているとどうなるか、献血プログラムに則ってきちんと検討されていたことはこれまであまりなかったようです。
結果、28日間隔で1年間に6回以上献血を行った場合でも、明らかな鉄欠乏所見はみられなかったとありました。素晴らしい。でもこの文献を読んでいて思ったのは、結構献血頻度高くないか、ということでした。知識としても体感としても28日間隔の献血は犬で鉄欠乏を引き起こす可能性が低いことは知っていましたが、実際に一般家庭で飼育されている子にそこまで高頻度に献血を頼むことは気が引けるというか、、なので個人的には日赤での献血頻度も参考にして季節に1回、3ヶ月に1回程度を上限とするようにしています。今回の研究を受けて、その頻度なら絶対大丈夫という確信が持てますね。
そしてこの文献を読んでいて何よりも驚いたのが、生涯トータル献血量が最大で609mL/kgの犬がいるというのです。研究に参加した犬たちの体重の中央値が33.7kgとありましたので、単純計算で2万mLを超えています。毎回400mL程度献血していたんだとして50回。すごい。私自身、献血は年に1回程度行くようにここ最近は頑張っていますが、これまでの人生で全血献血3回、成分献血も3回くらいだったかな、、その犬の足元にも及ばない献血量で不甲斐なさに落ち込みます。今年も残すところあと4ヶ月、その子に負けじと献血に行ってこようと思います。でも、もう少し涼しくなってからにしようかな、、


