ヘルパーズハイ

このあいだ休診日に電車移動していたところ、あとから大きなキャンバスのようなものを持って初老の男性が乗ってきました。だいたい1メートル四方くらいの大きさだったので結構大きい四角い何かですね。とても電車が空いていたので手荷物とその大きな四角いものを座席に置いて、男性はその四角いものが倒れないように立って支えていらっしゃいました。

そして私よりも前にその方は降りる駅が来たみたいで、四角いキャンバス風の何かをよいしょと持ち上げて電車を降りて行かれました。何を運んでいたんだろうなぁ、大きな絵画だったのかなぁとボーっとその方を心の中でお見送りして、空いた座席にふと目をやると、そこには風呂敷に包まれた手荷物が。あ、忘れ物だ!と気付いて悩むことおそらく2秒ほど、咄嗟に手荷物をつかんだ私は電車を降りてエスカレーターまでその方を追いかけて渡しに行きました。

突然エスカレーターで声をかけられた男性は驚いたご様子でしたが、無事に手荷物を渡せてほっと一安心。私は急いで電車に戻ろうとしましたが、間一髪のタイミングで閉じるドアに間に合わず。電車に乗り遅れてしまいましたが、そういう見知らぬ人の役に立てたときって高揚感があります。曇天でしたが晴れやかな気持ちで次の電車まで10分くらい待つことができました。

調べてみたらそういう高揚感のことをヘルパーズハイと言うそうで。見返りを期待せずに人助けをすると、人間の身体には生理的に好ましい反応が起こり、強くて、温かくて、落ち着いた感覚を得られるとか。確かに。あんまりそういう場面は多くないですけれど、今までの人生でも何度かありました。

大学生の頃、エレベーターに乗り合わせた女性が失神して僕の方に突然倒れてきたので、受け止めて支えてあげることができたので大事に至りませんでした。その時も高揚感が得られたのを覚えています。ちなみに不肖私めも何度か失神して倒れたことがあり、そのたびに地球などに顔面を強打して怪我をこさえたり歯折したりしましたので、ドラマみたいに美しく卒倒できないことはよく存じております。

あとは、3年程前に目の前で時速40kmくらいの車にはねられた少年を、その場に居合わせた大人5名くらいで道路から安全な場所へ移動して救急車へ引き渡したこともあったなぁ。彼も表面上は目立った外傷もなく意識もあって良かったですが、その後どうなったんだろう。とりあえず救出にたずさわった大人たちは、全員アドレナリンが満ち溢れるヘルパーズハイで目がギラギラしていたことは違いありませんでした。アメリカだったら少年のその場での救出劇が終わってハイファイブものでした。

今後の人生でもあと何度そのようなヘルパーズハイがあるかは分かりませんが、人助けは巡り巡って自分助けにもなるそうです。うっかり助けられる側の立場にならないよう気を付けながら、毎日を大切に過ごしていくようにしたいと思います。ところで、初老の男性って何歳くらいのイメージなんだろうと調べてみたら、本来の意味では数え年40歳を指すとのことで…え、私は初老だったのですか。冒頭の男性は70歳くらいに見える方だったのですが…