顕微鏡写真: 猫のMott細胞
以前、犬の火炎細胞について記事を書いたことがありましたが、今回はその仲間のMott(モット)細胞についてご紹介したいと思います。早速画像をご覧ください。

赤血球のウォーターアーティファクトがひどくて恐縮ですが、写真中央の細胞質に球状の青白い封入体を持つのがMott細胞です。これは1901年にイギリスの医師であるフレデリック・ウォーカー・モット先生が発見した形質細胞の一種で、見た目が桑の実みたいに見えたことからモット先生は「Morular cell」と名付けたようです。morularって英単語だと桑実胚のことを指しますが、ラテン語で小さな桑の実のことをmorulaと言うのでそちらからきたんでしょうか。ちなみに英語で桑の実のことはmulberryなのですが、mulberry cellと言っている人はいないと思います。
この青白い封入体はラッセル小体とも呼ばれており、免疫グロブリンを過剰産生・蓄積している状態を示しています。よってMott細胞は何かしらの炎症や感染など形質細胞が活性化しているとき、あるいは血液腫瘍などでもみられることがあります。多くの場合に何か特定の疾患を示す細胞ではありませんが、見た目が綺麗な気がして遭遇するとついつい見入ってしまいます。骨髄塗抹ではぼちぼち出会うことはあるのですが、今回たまたま血液塗抹を観察していたら遭遇したので思わず写真に収めてしまいました。
Mott細胞はその見た目からブドウの房のようにも見えるので、この細胞のことを「Grape cell」と呼ぶ人もいます。だから私の認識では、「Mott cell=Morular cell=Grape cell」であり、単純に言えば「ラッセル小体をたくさん持つ形質細胞」とも言えます。
今回記事を書く上で色々調べていたら、海外の文献で「Constipated plasma cell」と書いてある記述もみかけました。え、constipateって便秘ということ?直訳すると便秘の形質細胞…?constipateって他に英単語的な意味はあるのでしょうか。ラッセル小体は、免疫グロブリンの分泌障害・過剰産生をきたして拡張した粗面小胞体が見えているという認識なので、外に排出できずに溜め込んでいるという意味では確かに便秘と言えば便秘か。。個人的に好きな細胞が便秘扱いされてちょっと複雑な気持ちになりましたので、本日はこのあたりで筆をおいておこうと思います。


