顕微鏡写真: Poikilocytosis

学生の頃に血液の本を読んでいたら、「Poikilocytosis」なる単語が出てきました。ポイキロサイトーシス?なんて読むんだ?と思っていましたが、語源を辿ってみるとギリシャ語に由来するそうで、ギリシャ語で「多様な(poikilos)」と言うらしいです。どおりで全く馴染みのない単語なわけです。ちなみに、実際発音を聞いてみると、そのままポイキロサイトーシスで良さそうです。日本語訳は、奇形赤血球症とか異型赤血球症などとしていることが多いと思われます。

イヌ末梢血-Poikilocytosis、対物レンズ100倍、Diff-Quik染色

このPoikilocytosis、という単語にそれほど特異的な疾患との結びつきはなく、変わった形の赤血球が目立つ、というアンブレラターム(総称)となっています。そのため、出来るだけPoikilocytosisという漠然とした名称より、Acanthocyte(有棘赤血球)や破砕赤血球が増えているとか、ハインツ小体やEccentrocyte(偏心赤血球)が増えているとか、特定の疾患の診断につながるような所見を中心にピックアップしていくことが好ましいです。

しかしながら、診療をしているとPoikilocytosisではあるけど、この血液塗抹は何を示しているのだろうか、と判断が難しいことは沢山あります。だから血液生化学検査で他に情報を集めたり、画像診断を組み合わせたり、治療反応をみたり、あとは骨髄検査をしたりしてなるべく正解に近づこうとするのですが。何かがおかしいけれど、はっきりとは分からない。そんな状態の入り口となるのが、Poikilocytosisだったりします。

イヌ末梢血-Poikilocytosis、対物レンズ100倍、Diff-Quik染色

ところでポイキロサイトーシス、って言ってる日本人の先生みたことないのですが、何でだろう。割とよくみられる現象な気がします。どこか可愛らしいというか、間が抜けたような音に聞こえるからかなぁ。血液塗抹についてディスカッションする際、「それはポイキロサイトーシスですね」っていつか言ってみたいけど、「え、なんだって?」って聞き直される気がしてなりませんね。