顕微鏡写真: ライト染色の温度
ライト染色液とバッファーを混和する際、ライト染色液に99%くらい含まれているメタノールと水が反応して発熱することはご存知でしょうか。と言っても触れないくらいの温度ではなく、経験上、ほんのり温かいお湯くらいの温度です。しかしその温度上昇は血球の染色態度にいくらか影響を及ぼすことが指摘されています。
多くの動物病院では処理する検体数が少ないので、血液塗抹をライトギムザ染色する場合、浸漬法ではなく上乗せ法で行われることが多いと思います。この上乗せ法において、血液塗抹上でライト染色液とバッファーを混和すると、上述の発熱が生じて染色態度が変わってくるのだろうかと漠然と今まで思っていました。そこで思い立ったが吉日ということで、実験してみました。
実験方法として、血液塗抹を作製、メタノール固定までは同じように行い、①塗抹上でライト染色液とバッファーを混和して使用、②事前にライト染色液とバッファーを別途混和して「室温」で10分静置してから使用、③事前にライト染色液とバッファーを別途混和して「冷凍庫」で10分静置してから使用、の三条件で検討してみました。ライト染色液と言えば顆粒の染色性なので、好中球と好酸球の顆粒の染色性に着目して結果をお示しします。
まずは①塗抹上でライト染色液とバッファーを混和して使用


つづいて②事前にライト染色液とバッファーを別途混和して「室温」で10分静置してから使用


最後に③事前にライト染色液とバッファーを別途混和して「冷凍庫」で10分静置してから使用


いかがでしょうか?こうして見ると結構違いますね。②、③の方が好中球の微細な顆粒の染色性や、あとは核の染まり具合も良いように思います。③が一番きれいに染まっているように見えますね。過去の人での報告においても、冷蔵していた染色液の方が一番染色性が良かったとされていましたので、犬でも同様な結果になっている様子です。それにしても犬の好中球の顆粒って本当に微細すぎて困ります。
さて、このままだと核の構造が見えづらいので、同じ塗抹に対して、二段階目としてギムザ染色を行った結果が以下になります。
①塗抹上でライト染色液とバッファーを混和して使用+ギムザ染色

②事前にライト染色液とバッファーを別途混和して「室温」で10分静置してから使用+ギムザ染色

③事前にライト染色液とバッファーを別途混和して「冷凍庫」で10分静置してから使用+ギムザ染色

さあ、いかがでしょうか。ゴミが乗ってたりと少々写真が汚くて恐縮ですが、ものの見事にライト染色液での頑張りを打ち消してすべてが同じ染色性に見えてしまうのは私だけでしょうか。誰か、②+ギムザ染色や③+ギムザ染色の良いところを教えてほしい。今回はライト染色の時間を5分で固定していましたが、もう少し長めに設定したらギムザ染色に打ち消されないくらい顆粒の染色性が残るのだろうか。うーむ。今年の夏の自由研究はライト染色にするべきか。引き続き精進していきたいと思います。


